2017年2月20日月曜日

日本語字幕のある唯一の?イスラーム映画『The Message』

●日本語字幕のある唯一の”イスラーム映画”




The Messageは1976年の映画。
神(سبحان و تعالٰی)からの啓示から迫害、移住(ヒジュラ)、戦闘を経てメッカに凱旋するまでが描かれています。

イスラーム圏の生活や考え方が出てくる映画はあれど、イスラームの史実を描いた映画は少なくとも日本で見られるものは他にはないのではないでしょうか。

3時間に及ぶ映画ですが、Wikiによると、吹き替えでは不十分だとして英語とアラビア語版を同時進行で撮影したらしいです。すごい。

イスラームの真実を伝えることは西欧に住むムスリムであり、映画監督である自分の義務だと感じたことからこの映画を製作したそうです。
同時に商業目的ではないことを示すため脚本のすべてのページをスンナ派の最高教育機関と言われるアズハル大学に見てもらい、シーア派の権威にも認められたそうです。

また、ムスリムの感情や規範を尊重するため、この映画では預言者ムハンマド (ﷺ 彼に平安あれ ) の姿は出てきません。

残念ながら監督は2005年のアンマン自爆テロに巻き込まれ、亡くなってしまいました。
十時軍と戦ったクルド人イスラーム指導者、サラディンの映画を作り始めていた時だったそうです。とても残念ですね。。

若者が支持した新しい動きとしてのイスラーム、当時のアラビア半島の一部での慣習であった嬰児殺しを禁止したことの重要性、迫害への抵抗としての武力行使、メッカへの凱旋など、映画の内容は本編を見ていただければと思いますが、印象的だった登場人物やシーンをご紹介します(若干ネタバレ?があります)。

●奴隷出身のビラル


イスラームにはその最初期から黒人の改宗者がいました。
元々メッカの商人の奴隷として働かされていたビラルです。

彼は鞭打たれながらも決して信仰を捨てませんでした。



自分が西アフリカで出会った人たちもビラルのことを尊敬していたことを思い出しました。

-世界初の肉声でのアザーン


イスラーム圏では礼拝の時間になると、モスクから「アザーン(礼拝への呼びかけ)」が聞こえてきます。アザーンが聞こえてくると「おしゃべりしてはいけないよ」と言われたり、礼拝へ向けて気持ちがシュッとします。

このアザーンを初めて行なったのが、ビラルだといわれています。礼拝の合図は太鼓やキリスト教的な鐘、ユダヤ教的な角笛などの案があったようですが、人の声で行われることになりました。スピーカーやマイクは使われるものの、今日に至るまで録音ではなく、ライブでのアザーンが続いています。



ビラルによる最初のアザーン。



感動しました。


●メッカの統治者との対立、戦闘、凱旋


当時のメッカの統治者ブソフィヤンを始め権力者は多神教が祀られていたカアバ神殿や商業の管理を通じて利益を得ていたようです。

イスラーム教徒を迫害する権力者との戦闘の後、10年間の平和協定を結んでいたにもかかわらず、ある日イスラーム教徒達が闇討ちにあいます。

その結果、統治者ブソフィヤンも命を狙われるようになります。

「俺はメッカだ、メッカの統治者だぞ。なぜ侮辱される」
「約束も誓いも破るからだ」

先日の記事にもあったようなイスラームにおける「言葉を守ること」の規範がここに表れています。



要所要所で重要な役割を果たすビラル。

メッカへの凱旋後のアザーンもやはりビラルが行いました。



●最期のメッセージ

映画のラストは預言者ムハンマド (彼に平安あれ)の最期のメッセージ。

「皆よく聞くがよい。私の命はあと僅かだ。弱き者達よ、食物、着物で贅沢をするな。そうすれば神はあなたを迎えて下さる。」
「あなた方はアダムの子。偉大な神を崇える者。」
「イスラム教徒は皆同胞だ。我々には種族も部族もない。」




西欧とイスラームの架け橋とするべく、批判されながらも制作を成し遂げたThe message。
公開から40年経った今、ますます深まりつつある両者の分断を超えていくためにもその重要性はますます大きなものとなっているのではないでしょうか。

映画としても古臭くなく、とても面白いです。



【予告編(英語)】
The new trailer for "The Message" (1977), a historical epic directed and produced by Moustapha Akkad and starring Anthony Quinn, which chronicles the life of the prophet Mohammed and the birth of Islam.



2017年2月14日火曜日

「嘘をついた?」イラン映画『別離』:イスラームにおける嘘 

●『別離』嘘をめぐる葛藤


『別離』は2011年のイラン映画。第61回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に出品され、最高賞である金熊賞と、女優賞、男優賞の2つの銀熊賞の計3部門で受賞(Wikiより)。

アルツハイマーの父を介護する、比較的裕福そうな銀行員ナデルとそこへ働きに来た女性ラジエー。
両者の間に起きたあることが原因で、それぞれの家族を巻き込みながら裁判で争うことに・・・

イスラームが前面に押し出された映画ではありませんが、根底にはイスラーム的な規範があり、場面場面でその規範が重要となります。

特に「嘘」をめぐる人々の捉え方。


訴えられたナデルは自分に有利に裁判を進めようと嘘をついたことを娘に見透かされる。
その一方で訴えた側の貧しいラジエーとその夫もまた、裁判の示談金を受け取るか、裁判でついた嘘(といっても確信が持てない証言)を取るか、という選択肢を迫られる。


(写真は本編から引用 (C) 2009 Asghar Farhadi)

その葛藤や結果は是非本編でご覧ください。

●イスラームにおける嘘


目先の利益か小さな嘘か。
『別離』で見られる「嘘」をめぐる葛藤はイスラームに限らず一般的によくあることだと思います。

ただ、映画の中でもその「嘘」が目先のことのみならず家族にまで及ぶ「罪」や「天罰が下る」とされているように、イスラームでは「嘘をつかないこと」は単なる「個人の道徳」にとどまりません。

イスラームにおける「嘘」についてIslamReligion.comでは次のように説明されています。

イスラームでは、嘘をつくことは重大な悪であると見なします。神はクルアーンの中でこのように述べています。 
“またあなたは、自分の知識のないことに従って(言って)はならない。”(クルアーン17:36)
預言者(神の慈悲と祝福あれ)は常に正直であることの重要性と、習慣的な嘘の重大性について強調しています。「正直さは敬虔さに、敬虔さは楽園へとつながります。人は神によって正直者であると記されるまで正直でなければなりません。嘘をつくことは逸脱につながり、逸脱は火獄につながります。人は神によって嘘つきであると記されるまで、嘘をつくものです。3  
出典: IslamReligion.com http://www.islamreligion.com/jp/articles/26/

「嘘」は現世だけではなく「火獄」という来世の罰にもつながる「重大な悪」であることがわかります。

このような嘘にまつわる規範は普段の人間関係にとどまりません。イスラーム学者の中田考さんは、政治的に敵対する相手との関係においても、「自らの言葉を守る」限りにおいては、対話することが可能であると述べています。
 イスラームはイスラームを絶対的真理、異教徒を価値観を共有しない敵と見做すが、さりとて、その価値観を共有しない敵を対話の成立せず共存が不可能な人外の存在と考え悪魔化することもない。
 むしろ、イスラームは、人が人である限り、つまり「言葉を話す存在」としての言語の内的ルール、「自らの言葉を守る(言葉の意味論的、語用論的、統語論的意味に忠実に約束を履行する)」という条件さえ満たす限り、対話による共存の道が開けている、と考えるのであり、それがイスラーム国際法の考え方なのである。  
出典:
中田考BLOG「イスラームにおける救済の境界と異教徒との共存」 http://hassankonakata.blogspot.jp/2016/11/blog-post.html 
(異教徒を敵とみなす、というのは中田先生らしい極端な表現ですね・・・)

私的な関係から国際的 ・政治的関係に至るまで、イスラームにおいて「嘘」は忌避されるもの、という規範が徹底されている。


実際にムスリム同士の日常会話の中でもしばしば「嘘はいけない」と言います。

映画『別離』では、登場人物の葛藤や感情から日常生活での「嘘」をめぐる規範が実感できると思います。


「誰が悪い」わけでもないどうしようもない苦しみや哀しみにあふれるとてもいい映画でした。


【『別離』予告編】

イラン人夫婦に訪れる危機を軸に、人間の複雑な心理と共に社会問題をも浮き彫りにし、ベルリン国際映画祭金熊賞などを受賞した人間ドラマ。『彼女が消えた浜辺』のイラン映画界の異才、アスガー・ファルハディがメガホンを取り、濃密ながら壊れやすい家族の関係を繊細に映し出す。娘のために外国への移住を決断する妻をレイラ・ハタミが、父親の介護のためにイランに残りたい夫をペイマン・モアディが好演。波乱含みの様相にさらなる秘密とうそが絡み合い、スリリングに転がっていく展開に心を奪われる。
http://www.cinematoday.jp/movie/T0012179
配給: マジックアワー、ドマ
オフィシャルサイトhttp://www.betsuri.com (C) 2009 Asghar Farhadi


2017年2月4日土曜日

「戦士でいるために銃を撃つ必要はない」 ナシード " Like a Soldier " Muslim Belal

" Like a Soldier " Muslim Belal 

「何と言われようと俺は戦士だ」
「立ち上がり神に祈る/30日の断食をする/喜捨をする」
「戦士でいるために銃を撃つ必要はない」
「戦士でいるために爆弾を落とす必要ない」



武力ではなく、信仰・実践によって戦う、ジハード・アクバル(大ジハード)の精神を感じます。

2017年2月2日木曜日

刑務所でのイスラームとの出会いからメッカ巡礼、最期の演説まで『マルコムX』 

マルコムX( 出生名:マルコム・リトル 、ムスリム名:エル・ハジ・マリク・エル・シャバーズ)の自伝に基づく映画。

チンピラからNation of Islam(イスラムの国)のカリスマ的な説教師へ、やがて独立しハッジ(メッカ巡礼)を経てイスラーム信仰によってアメリカの人種差別を克服しようと試みるが…

「人種差別はアメリカを滅ぼす。若い世代はその方向に気づき、魂の道に真実を求め始めるだろう」

トランプ政権下の今だからこそ重要なメッセージですね。


暴力的なイメージがまとわりがちなマルコムですが、自分の死を予期しながらも正しさを求める姿に、ソクラテスのような信念と潔さを感じました。



(画像は本編から引用)

【予告編(英語)】

配給  アメリカ:ワーナー・ブラザース
日本:日本ビクター(提供)/UIP
公開 アメリカ:1992年11月18日
日本:1993年2月20日

2017年1月31日火曜日

池内恵「近代ジハード論の系譜学」

映画『パラダイス・ナウ』で出てきた「モラルの戦い」とも通じるところですが、個人的には西アフリカで出会った、武力ではなく知識や信仰によって自分自身と戦う「大ジハード」論に共感します。が、この論文では「大ジハード」論を含む「ジハード回避論」では武力的な「ジハード実行論」を退ける論拠にならないことが述べられていて、困っています。それでも何かできることはあるのではないか、と思いつつまだ読み込めていないのでまずは目次を、、

池内恵「近代ジハード論の系譜学
一.コーランとイスラーム法学におけるジハード概念 
(1)コーランにおけるジハードと戦闘 (2)ハディースにおけるジハードと戦闘(3)イスラーム法学による体系化---ナスフ理論による段階発展説(4)集団義務と個人義務(5)イスラーム的国際法(6)「大ジハード論」の展開
二.近代化論者によるジハード回避論 
(1)防衛ジハード論 (2)ナスフ学説の批判
三.原理主義者によるジハード実行論 
(1)近代の知識人とウラマーによる西洋への従属を批判(2)古典イスラーム法学への回帰(3)ナスフ学説の再確認(4)「防衛」概念の拡大(5)大ジハード論批判
四.政治的分極化と理論的共鳴---ジレンマの根源


https://www.jstage.jst.go.jp/article/kokusaiseiji/2014/175/2014_175_115/_article

若者はなぜ自爆に向かうのか?映画『パラダイス・ナウ』

パレスチナに住む自動車整備場で働く若者。
家族に起こった不幸が原因で長年屈辱を強いられてきた彼は、友人とともにある作戦に参加しようとする。

かつて殉教した英雄の娘は彼らの説得を試みます。


(本編より引用)

彼女は、自爆ではなく「モラルの戦い」を選択することを説きます。
この説得の結果は、、?
彼らの葛藤とは?

是非本編でご覧ください。(TUTAYAで借りられます)

配給:UPLINK

多言語ナシード

コーラスのメロディがとても印象的なナシード。アラビア語、ウルドゥー語、ベンガル語、アルバニア語、バローチ語、英語、ドイツ語、フランス語など色々な言語が出てきます。マレーシアから来た友人も口ずさんでいたので、マレーシアでも知られているんでしょうか。


112.純正章 Al-Ikhlaas

一番好きなスーラ(章)の一つ。

「一」であるということについて色々と考えるきっかけとなりました。
(何者にも依存しない「一者」/一度の人生 /一人のあなた/一人のわたし、など)

初めて読む方にとっては、多分日本語の字面だけ見ても全く何の実感もわかないと思うのでよかったらメロディーとともに見てみてください。(同じ章の少し違う二種類の朗唱です)





بِسْمِ ٱللَّهِ ٱلرَّحْمَٰنِ ٱلرَّحِيمِ

112.純正章 Al-Ikhlaas

قُلْ هُوَ ٱللَّهُ أَحَدٌ
言え,「かれはアッラー,唯一なる御方であられる。

ٱللَّهُ ٱلصَّمَدُ
アッラーは,自存され,

لَمْ يَلِدْ وَلَمْ يُولَدْ
御産みなさらないし,御産れになられたのではない,

وَلَمْ يَكُن لَّهُۥ كُفُوًا أَحَدٌۢ
かれに比べ得る,何ものもない。」

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アプリを使うと色々聞いたりしやすいです。
自分はムスリム・プロというアプリをつかっています。
http://www.muslimpro.com/dl

2017年1月30日月曜日

ポップなナシード・シンガー Khāled Siddīq

ロンドンのナシード・シンガーKhāled Siddīq。クリスチャンからの改宗者。イケメンですね。Youtuberとしていろんな動画も作成しています。まずは、パートナーに向けたスウィートなラブソング。

Khāled Siddīq - "My Love" (Official Nasheed Video)


次の曲では冒頭で「全て人の声で制作しています。楽器は使っていません。」との注意書き。ナシードのビデオでよく見る文句ですね。

また詳しく書きますがイスラームでは「音楽は禁止(ハラーム)か?」という議論が昔からあり、「打楽器以外の楽器の使用は推奨されない」という規範があります。もちろん解釈は人それぞれで楽器を使うムスリムもたくさんいますが、彼は楽器は使わないという「まじめ」なスタンスをアピールしています。

Khāled Siddīq - "Ready or Not" (Official Nasheed Video)

実際に聞いてみるとわかるようにビートボックスはバリバリ使っています。打楽器だから大丈夫という解釈なんだと思います。(じゃあ声をサンプリングしてピッチを変えて使うのはどうなのか、エフェクトかけて楽器的にするのはどうなのか、、?とか疑問が湧いてきそうですね。)
外からはイスラームはイスラームで一枚岩のように見えますが、色々と伝統的な議論を参照しながらそれぞれ解釈しながら実践しているのが実情です。

最後に、BBCで放送された、改宗前の彼の”コーラス隊”時代の映像。かわいらしい少年から信仰・実践するムスリムへ。

FROM CHOIR BOY TO PRACTICING MUSLIM! (BBC TWO SHOW)


イベント

講演など、自分の住む関西のものになりますが、情報あれば掲載したいと思います。
もう終わってしまいましたが、大阪では例えばこんなイベントがあります。

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「イスラームって何?」第4回目(イスラームと平和)

プログラム:
講演(イスラームと平和)&質疑応答、クルアーンの朗読、ズィクル(神の名の唱念)、カスィーダ(アラビア語詩歌)、簡単アラビア語紹介、イスラーム入信者体験談、おやつ
主 催:となりのムスリム
日 時:2017年1月22日(日)14:00~16:00
場 所:平野区民センター
住 所:〒547-0011 大阪市平野区長吉出戸5-3-58
参加費:無料
http://ameblo.jp/tonarinomuslim/
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前回自分も参加し少しだけお話ししました。

主催する団体は「となりのムスリム」。内藤正典先生の著書『となりのイスラム』と何か関係があるの?と聞いたところ、たまたまとのことです^^

映画『グアンタナモ、僕達が見た真実』(The Road To Guantánamo)

実話に基づいた話で、実際の人物の語りと再現で構成された映画。
ロンドンから結婚のため本国パキスタンへ帰った若者は、友人3人とともに経験・人助けのためにアフガニスタンへ。
空爆や戦闘が行われるアフガニスタンから、命からがら避難しようとするもアメリカ軍に捕まってしまう(友人の一人は爆撃でおそらく死亡)。

グアンタナモへ送られ、アルカイダ・メンバーであると決めつけられ、真実を話すも信じてもらえずに二年半に渡り拘束され、拷問を受ける、、


(本編より引用)

映画「グアンタナモ、僕達が見た真実」(06 英制作/日本公開0701)予告編




2017年1月28日土曜日

佐藤章【イスラーム主義武装勢力と西アフリカ】

佐藤章さんによる、西アフリカのイスラーム主義に関する論考です。
自分自身、この内紛がきっかけでマリから帰国となってしまったし、今後の渡航にもかかわるので重要。

ニュートラルな視点で武装勢力への賛否をきちんと伝えられていて、とても勉強になります。
一部引用。「西アフリカ社会との関係においては、基本的には、在来のイスラーム教徒の態度が過激なイスラーム主義を容認しないものであったこともあり、これらの勢力は社会的な共感を広く勝ち得るには至っていないといえる。ただ、社会的な共感を広く獲得するには至っていないものの、武装行動や襲撃事件を起こしうるほどの一定数の賛同者を現に獲得している点もあわせて確認できる。」



■ 論考: イスラーム主義武装勢力と西アフリカ——イスラーム・マグレブのアル=カーイダ(AQIM)と系列組織を中心に——
■ 佐藤 章
■ 『アフリカレポート』2017年 No.55、pp.1-13

http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Periodicals/Africa/2017_01.html

2017年1月27日金曜日

Momen Suliman【The Meaning Of Life】スポークン・ワーズ

Bro.Momen Sulimanのスポークン・ワーズ。
泣きそうな、叫びのような、祈りのような。
昔好きだった”降神”のラップを思い出します。特にライブでノービートでのフリースタイルの時の神がかった感じを。
(英語:自動生成ですが字幕表示できます)


【The Meaning Of Life】

「世界中の人が集まったとしても、ハエ一匹すら作ることができないんだ」
「0と0と0を足しても1にはならない。じゃあこの世界はどこからきたんだろう?」

イスラームの実感

イスラームに限らず「はたから見るのと実践するのでは全然違う」というのはよくあることだと思います。

例えば、モスクなどで大勢の人が礼拝している姿がよくニュースなどで流れますが、実際に中で礼拝するのと、映像で見るのでは全然違います(当たり前ですが、、)。

自分もまだ礼拝しはじめてから日が浅いこともあり、自分の礼拝姿を映像や写真で見ると、なんだか変なことしてるな〜ととっさに思ってしまうかもしれません(そのうち慣れるとは思いますが。)

礼拝の個人的な実感としては、1日の中で時々訪れる「落ち着く時間」だと言えます。
どんなことがあっても礼拝マット=「たたみ半畳にも満たない聖域」がある。

そういう日常です。

コンパス付きの礼拝マット@マリ(2011)

西アフリカのイスラーム

西アフリカ、と言っても自分が滞在したマリ・セネガルだけですが、、
写真や映像など、少しずつ載せていきたいと思います。

アフリカ、と聞いてイスラームのイメージは湧かないかもしれませんが、実は西アフリカのマリやセネガルでは人口の9割以上がイスラム教徒だと言われています。

出典:http://www.muslimpopulation.com/

モスク@セネガル,トゥーバ(2016)

西アフリカの日常におけるイスラームなど、また書いていきたいと思います。

映画『ビン・ラディンを探せ!』

ふざけたタイトルとふざけたオープニングですが、みていくと思いの外真面目な映画でびっくりしました。エジプト、モロッコ、イスラエル、アフガニスタン、パキスタンを旅しながら、いろいろな立場の人に話を聞いていきます。
多くの友人が聖戦に参加したという人や、街角の人、アフガニスタンのスラムに住む人、アフガニスタンとパキスタンの国境(戦闘地区)に暮らす村人、キリスト聖職者、アメリカの軍人、イスラエルの厳格なユダヤ人居住区の人、ビンラディンの知り合い、などなど、、

自爆者を出したスラムの住人の言葉「彼らには経済的にも政治的にも発言力がない。過激主義の根を断つには発言力を与える必要がある」はニュースなどで見ているだけでは決して得られない視点ですね。

監督自身も数ヶ月の旅を終えこう結論付けます。
「オサマを捕まえても平和は訪れない。根本的な原因が解決されていないからだ。問題はそこだ。一度振り返るんだ。どんな世界に住みたい?」
ビンラディン「殺害」以降の世界を見ると監督の結論は当たっていますね。

監督が見て実感した「根本的な原因」については是非本編で見てください。たくさん描かれています。(自分はツタヤで取り寄せて観ました)。

見終わってから気づきましたがビッグマックを食べ続けた『スーパーサイズ・ミー』の人なんですね。

ーーー


『スーパーサイズ・ミー』で話題を呼んだモーガン・スパーロック監督が、世界一のお尋ね者オサマ・ビンラディンを捜す旅に出るドキュメンタリー。生まれてくる子どものため平和な世界を望むスパーロック監督自ら、「ビンラディンはどこ?」と尋ねながらイスラム諸国を巡る。イスラム社会の人々がスパーロック監督の質問に戸惑いながらも応じ、互いに交流を深めていく姿に、相手を知らずに偏見で物事を見ることの危うさ、文化や価値観の異なるものへの理解の大切さを実感する。
配給:アップリンク
オフィシャルサイトhttp://www.webdice.jp/realmikoukai
(C) 2008 WHERE IN THE WORLD, LLC AND WILD BUNCH S.A., ALL RIGHTS RESERVED
(画像は全て本編からの引用です)

2017年1月26日木曜日

Muslim Belal -Poetry 【Love Muhammad】

ジャマイカ系のイギリス人俳優でクリスチャンからの改宗者、Bro.Muslim Belal のポエトリー・ラップ。
歌いように語り、語るように歌う。
ダンスホールからモスクへ、ストリートのギャングスタコミュニティからウンマ(イスラーム共同体)へ。
改宗の経緯を歌っています。(英語:自動生成の字幕が表示できます)

Muslim Belal -Poetry - Love Muhammad


聞くたびに感動してしまいます。
イスラームに興味を持ったきっかけの一つに目に見えない被造物である「ジン(精霊や妖霊と訳されます)」というのも自分とかぶるところがあり共感します。

内容とは関係ないですが彼のおじいさんは中国の方だそうです。


『サラエボ、希望の街角』

イスラームに傾倒して行く恋人、理解できないが故の葛藤・・・
全く背景は違いますが、日本でもあり得ることですね(><)
TUTAYAで借りました。

『サラエボ、希望の街角』
仕事中に酒を飲んでクビになったアマルはある日、元兵士仲間と出会う。その仲間はイスラームについて学ぶキャンプを主催している。アマルはそこで、信仰に目覚める。
世俗的な彼女との葛藤、ケンカ、不妊治療・・・
ボスニア紛争の傷跡。

時々どきっとするようなセリフが出てきます。


写真は全て本編から引用
(C) 2009 Deblokada / coop99 / Pola Pandora / Produkcija Ziva / ZDF-Das kleine Fernsehspiel / ARTE


【予告編】



文献

イスラームに関する本も紹介して行けたらと思っています。
こちらは内藤正典先生のノン・ムスリムならでは?の視点かつ豊富な経験と知識から書かれていて、とてもわかりやすい本。以下Amazonより。

 

となりのイスラム 世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代』 単行本(ソフトカバー) – 2016/7/17
内藤正典 (著)

内容紹介
仲良くやっていきましょう。

テロ、戦争を起こさないために―
大勢のイスラム教徒と共存するために――

現代イスラム地域を30年以上見つめつづけてきた研究者である著者が、いま、なぜ「こんなこと」になっているのか? を解説。 「一夫多妻制って?」などの日常的な話題から、「イスラム国」がなぜ生まれたか、といった世界情勢の見方や「テロを本当になくすために必要なこと」まで、抜群のわかりやすさで綴る、現代必読の一冊。

1980年代にシリアを、その後ヨーロッパでトルコ出身の移民を、それぞれ現地で研究してきました。91年からは、トルコに家をもち、イスラム世界との交流をつづけています。この本では、私が実際に見て聞いて研究した「となりのイスラム」をご紹介することで、みなさんの頭のなかにある、イスラムは怖いという思い込みを解いていこうと思います。そして、ごくふつうに仲良くしていけるんだ、あるいは、そうしていきたい、と思い、行動する人たちが増えていってほしいと思うのです。――まえがきより


はじまります

ビスミッラー

はじめまして。ウスマンです。

報道だけでは何かと誤解の多いイスラームについて書いていきたいと思います。

イスラームをめぐる映画、イスラームに関係する音楽、クルアーン、ハディース、日本や西アフリカ・イスラーム圏での経験談なども少しずつ。

映画はTUTAYAで借りれます、とよく出てくると思いますが近所なだけで、回し者ではありません;^^

どうぞよろしくお願いいたします。

タバスキ(イード・アル アドハー: 犠牲祭)
羊を捌く兄弟@セネガル(2008)